その他自動車関連4(レンタカー事業)

 自家用自動車を有償(お金を貰って)で貸渡しする事業、いわゆるレンタカー
 事業を行う場合には、国土交通大臣の許可が必要となります(道路運送法第
 80条第1項)。

 自家用自動車(事業用に使用する自動車以外のもの)の有償貸渡しとは、自動
 車を使用する人に自家用自動車を貸渡して費用を受ける、つまりレンタカー事業
 を意味します。

 では、新たにレンタカー事業を行おうとする場合には、どのような手続きが必要
 となるのでしょう。
 以下にレンタカー事業の許可申請手続きについてをまとめてみます。


 【申請手続】
  この許可を申請しようとする者は、 許可を求める申請書に次の事項を記載して
  申請する必要があります(道路運送法施行規則第52条第1項)。

 
  1 貸渡人の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
  2 貸渡人の事務所の名称及び所在地
  3 貸渡の実施計画
   (1)自動車運送事業類似行為の防止を図るための体制・計画
    ア 事務所ごとに配置する責任者
    イ 従業員への指導・研修の計画等
   (2)自動車運送事業類似行為の防止を図るための貸渡しの実施方法
   (3)その他貸渡しの適正化を図るための計画
    ア 保険の加入状況
    イ 整備管理者(整備責任者)の配置計画等

    [注] 整備管理者の配置は、道路運送車両法第50条を根拠とします。
       具体的対象となる場合が、同法施行規則第31条の3に規定されて
       います。
       
       第1号 乗車定員11人以上の自動車              1両
       第2号  乗車定員11人以上29人以下の自家用自動車
       (道路運送法第80条第1項の許可に係るものを除く)       2両
       第3号 乗車定員10人以下で車両総重量8トン以下の
            及び乗車定員10人以下の自動車運送自家用自動車
            事業の用に供する自動車                 5両
       第4号 貨物軽自動車運送事業のように供する自動車
            及び乗車定員10人以下で車両総重量8トン未満の自家用
           自動車であって、第2号の許可に係るもの       10両


       の場合には整備管理者の配置が必須となります。

       例えば、レンタルする自動車が普通車両で9台までなら、
       整備管理者(自動車整備士の国家資格者)の配置は不要となり、

       整備責任者を配置すれば良いということになります。 
 
   簡単に整理すると・・・
   ▶自家用自動車を10台以上レンタカーとして使用する
   ▶乗車定員11人以上のバス1台以上をレンタカーとして使用する
   ▶車両総重量8トン以上の大型トラック5台以上をレンタカーとして使用する
   などの場合には、整備管理者の配置が必要です。     
 
 4 貸渡を必要とする理由


  申請書には、貸渡をしようとする自家用自動車の貸渡料金及び貸渡約款を記載
  した書類を添付します(同上第2項)。


 ■この条項に基づき、許可申請書式に添付して提出する具体的書類は、
  以下のとおりです。
  ① 貸渡料金及び貸渡約款を記載した書類
  ② 会社の場合には登記簿謄本(新法人にあっては発起人名簿)、個人の
    場合には住民票
  ③ 欠格事由に該当しないことを証する確認書・宣誓書
  ④ 事務所別車種別配置車両数一覧表
  ⑤ 貸渡しの実施計画書


 ■レンタカー型カーシェアリングサービスを行う場合に必要となる書類は、
  上記に加えて以下のとおりです。
  a 貸渡し自動車の車名および型式
  b aの自動車の保管場所(デポジット)の所在地、配置図
  c bの保管場所を管理する事務所の所在地
  d IT等の活用により行う車両の貸渡し状況、整備状況等、車両の状況の
    把握方法
  e 車両、エンジンキー等の管理、貸出方法
  f 会員規約または契約書

 
 ■許可申請者がレンタカー型カーシェアリングサービス(ワンウェイ方式)を
  実施する場合には、その実施に係る確約書も必要となります。

 
  
 【許可の基準(代表的なものを抜粋)】
  上記③にあるように、申請者は、人的に欠格事由に該当しないということの他、
  事故に備えて十分な補償を行い得ることについても許可の基準となります。
  具体的には、
     対人保険  一人当たり  8,000万円以上
     対物保険  一件当たり    200万円以上
     搭乗者保険 搭乗者一人当たり 500万円以上
           (搭乗者が補償対象となる人身傷害保険も含みます)
  という数値が示されており、本件許可の「条件」のひとつにもなっています。

 
     
 【申請窓口】
  事務所を所管する地方運輸局長、運輸監理部長又は運輸支局長(道路運送法

  施行令第4条第6項、同上第7項)に提出します。
  例えば、事務所を札幌市内に構えるのであれば、札幌陸運支局長ということに
  なります。標準処理期間は1か月として公表されています。


 【許可取得後】
  レンタカー事業としての許可を取得の後1か月以内に、登録免許税9万円が

  課税されますので (登録免許税法第2条、別表第1 課税範囲、課税標準及び
  税率の表の第126)、期間内に納付しなければなりません。

  許可を取得した後は、自動車保険に加入しなければなりません。
  新たに許可証を受けた者は、同時に「レンタカー事業者証明証」の交付を受ける
  ことができます。
  許可取得の後は、同証明証写しを添えて、レンタカーとして使用する自動車
  について、「わ」ナンバーへと登録する必要があります。
 
  因みに「レンタカー事業者証明証」の有効期限は、交付日から5年間です。
  更新手続きは、有効期限の1か月前から行うことができます。


 【その他】
 レンタカー事業の許可について記載しましたが、このレンタカー事業は、
 霊柩車としての使用はできません。
 霊柩車として自動車をしたいのであれば、自家用自動車の有償貸渡しではなく、
 貨物運送事業法に基づく一般貨物運送事業としての許可を取得する必要がありま
 す。人は亡くなると「モノ」として考えられるので、運送事業の一環で許可を得
 る必要があるということになるのですね。
 重ねて申しあげますが、レンタカーを使ってご遺体を搬送することを業として
 行うことはできません。

 
   
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   以上、レンタカー事業の許可申請について、まとめてみました。
  コロナ後の経済の復調やインバウンドの好調を受け、旅行者自らレンタカーを
  運転し、旅行地の観光スポットを巡ることが定番となりつつあります。

  また、最近では、スマートフォンなどからでも簡単に予約して、15分単位から
  気軽に自動車を借りて、短時間で要件を済ませるという利用も選択できるよう
  になりました。

  単に自動車を貸すということに留まらず、自動車工場などで修理車両を受け
  入れた際の代車としてレンタカーを貸し出すといった使用方法もあるように
  聞き及んでいます。
  この他にも、レンタカー許可を取得することで新サービスの展開ができるかも
  しれません。 
    

とよひら行政書士事務所
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