その他自動車関連3(自動車の相続関係)

放っておくわけにはいかないし。勝手に処分もできないし。

自動車の所有者が亡くなったとき
 原則として、その自動車は相続財産となります。
 但し、自動車の所有者がローン会社などである場合、①未だ自動車ローンが残
 っている可能性がある。②すでに自動車ローンは返済し終わっているものの名
 義変更せずに放置している。の何れかが考えられます。
 
 事前に相続人全員で、自動車ローン残額の有無・多少によって自動車の処分方
 法をどうするのかについて、取り決めをしておいたほうが良いと思います。
 従って、未だ協議がまとまっていない段階では、相続人のひとりが勝手に処分
 することはできませんし、名義変更せずに乗り続けることもできません。
 動路運送車両法第13条(移転登録)では所有者の変更があったときは、新所
 有者は、その事由があつた日から15日以内に、国土交通大臣の行う移転登録
 の申請をしなければならない、と定められています。
 
 ここでは、普通自動車の個人所有者が亡くなった場面を想定して進めること
 にします。また遺言書も存在しないものとします。
 (相続税等については、国税庁サイトや税理士にご確認ください。)
 
▶ 相続人がひとりしかいない
 その相続人名義に自動車の所有者名義の変更する必要があります。
 その後、自動車を継続使用するのか、売却処分するのか、一時抹消して手元に
 置いておくのか、使用せずに廃車処分して永久抹消するのか、その自動車をど
 うするのかによって必要な手続きが変わります。先述のとおり相続開始となっ
 てから時間を空けずに何れかの手続きを執ることをお勧めします。

(1)継続使用する
  相続人への所有者名義変更、元所有者(被相続人)と別の住所であるときに
  は住所変更及び登録車庫証明の手続きが必要となります。
  ①登録車検証
  ②戸籍謄本(戸籍全部事項証明)
  ③新所有者の印鑑登録証明(発行3か月以内のもの)
  ④新所有者の実印
  ⑤新所有者の自動車保管場所証明書

(2)売却処分する
  まずは旧所有者(被相続人)から相続人へ所有者名義変更・住所変更・自動
  車保管場所証明書の手続きが必要です(住所や保管場所に変更がなければ不
  要となることもあります。)。
  ①登録車検証
  ②移転登録申請書
  ③譲渡証明書(譲渡人(つまり相続した新所有者)の実印を押印)
  ④新旧所有者の印鑑登録証明(何れも発行3か月以内のもの)
  ⑤新所有者の実印
  ⑥所有者の自動車保管場所証明書
  その他状況によって必要書類が増える場合があります

(3)一時抹消する
  今は自動車は使わないけれど、売却したくない。
  車庫が空いているので一時的に保管するが、税金が掛かるのは困る。
  このような場合には、一時抹消手続きをとり、ナンバープレートを陸運局
  に返納することになります。
  ①登録検査証
  ②ナンバープレート前後2枚1組
  ③戸籍謄本(戸籍全部事項証明)
  ④印鑑登録証明
  ⑤新所有者の実印
   
(4)永久抹消する
  自動車は不要なので使用しない場合などに執る手続きです。
  自動車自体を業者へ引き渡したのち解体などの手続きをとったときは、
  「使用済自動車引取証明書」の発行を業者に依頼します。業者から実際に
  自動車を解体した日付を確認するか、公益財団法人自動車リサイクル促進
  センター・一般社団法人自動車再資源化協力機構が運営する「自動車リサ
  イクルシステム」のwebページで自動車の解体状況を確認することができ
  ます。
  自動車が実際に解体されていないと、永久抹消の手続きを完了させることが
  できません。事前に状況を確認してから永久抹消の手続を執るこようにしま
  しょう。
  一時抹消と同様の書類が必要となります。なお、車検期間が1カ月以上残っ
  ているときは、自動車税の還付のための相続人名義の銀行口座が必要となり
  ます。
   
 
▶ 相続人が複数人存在する
 その自動車は相続財産の一部となります。
 「遺産分割協議書」という言葉をお聞きになったことがあると思います。
 相続人が複数人いる場合は、自動車だけのことを取り決めるのではなく、他
 の財産類を含めて話し合いをすることが現実的かと思います。
 
 自動車の残存価値を調べるために、査定価格を算出することも必要となるか
 もしれません。そのうえで、相続人全員で遺産分割を協議していくことにな
 ります。
 人数が多くなったり遠隔地の方がいると手続きが煩雑で時間を要することに
 なるので注意が必要です。さらに注意しなければならないのは、遺産分割協
 議は、必ず相続人が全員で行わなければならないことです。
 相続人の調査が不十分であったため、相続人が漏れ落ちていたにも関わらず、
 遺産分割協議を行ったとしても、その遺産分割協議は効力を持ちません。

 相続人ら全員で有効に遺産分割協議が、纏まったものとしてその内容を書面化
 したものが「遺産分割協議書」です。
 自動車所有者の名義変更手続きをするときにも、相続財産となった自動車を
 相続人のうちの誰のものとしたのか、客観的に証明する資料として遺産分割
 協議書が必要となります。
 (自動車の査定価額が100万円以下である場合は、遺産分割協議書の代わり
 の簡易資料として「遺産分割協議成立申立書(自動車の査定書の添付要)」
 の提出で足ります。国土交通省HPで調べることができます。)
 その他、新所有者となる相続人の印鑑登録証明、相続人全員の押印済みの譲渡
 証明書が必要となります。
 

  

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