その他自動車関連1(キッチンカーの営業許可)

移動する自分だけの砦

 キッチンカーで飲食物販売を行うには
 コロナ禍以前、今からかなり前のこととなりますが、巷では自動車を改造して
 調理・加工スペースを備えた、いわゆるキッチンカーで飲食物販売を行う商売
 が流行っていました。

 都心のオフィス街、コンサート・イベント会場近隣のスペースを確保して、各
 自趣向を凝らしたキッチンカーが、手作り弁当、ハンバーガー、サンドウィッ
 チ、ナンカレー、ピザ、たこ焼き、お好み焼き、焼き鳥といったものから、ク
 レープ、ソフトクリーム、等など挙げればキリがないぐらいの種類が販売され
 ていました。

 その後、コロナ禍に見舞われたこともあって、コンサート・イベント等の人が
 大勢集まるような催し物が自粛され、一気にその姿を見かける機会も少なくな
 ってしまいました。
 しかし、新型コロナが感染症5類に移行となってからは、徐々に人の動きが活
 発化したこと、季節も春から夏になることも手伝ってか最近またキッチンカー
 を見かけることも増えてきたように思います(あくまで個人的感想です。)。

 今回、このようなキッチンカーでの飲食物販売を行うためには、どのような
 許可が必要となるのか、気になったので少し調べてみました。
 (札幌市保健所を基本としています。)
 
 ① 自動車を使用して食品の調理・加工及び販売を行う営業を『自動車営業』
   という(まさに自動車の台所で、簡単な調理や加工をしたうえで販売する
   営業スタイル。)。
 ② 札幌市内に、営業開始前の準備作業や管理的業務を行う場所として営業基
   地があることが必要。
 ③ 『自動車営業』可能な業種としては「飲食店営業」と「食肉処理業」。 
 ④ 許可取得のために食品衛生施行条例第3条の「施設基準」を満たして
   いる必要あり。
 ⑤ 施設ごとに「食品衛生管理者」を設置する必要がある。

 
 自動車営業では「飲食店営業」の許可を取得する必要がある。
 札幌市保健所で取得した営業許可の有効範囲は北海道全域。
 自動車ごと、業種ごとに許可が必要で、申請手数料は17,500円。
 
 自動車営業の営業には制限がある点に注意が必要です。
  ▷ 積載する給水・排水タンク容量は(40L、80L、200L)の3種。
    容量ごとに食品の調理・加工の工程数や取扱品目、水の使用方法が
    限定される(手洗いだけ、調理にも使用が可能等。)。
  ▷ 自動車内での調理・加工は加熱、成型程度。

 それ以外にも、調理・加工スペースが運転席と区切られている必要がありま
 すので自動車の改造が必要な場合もあります。札幌市保健所では事前相談を
 するよう注意を呼び掛けています。
 調べてみると、自治体ごとに取扱いが異なるので、どの自治体でも必ず事前
 の打ち合わせ等の必要があり、一概には判断できないようです。

 調理・加工及び販売の機能を自動車に持たせるためには、大掛かりな改造が
 必要となるでしょう。但し、トレーラーなどのように調理・加工及び販売スペ
 ースと、運転するスペースが明確に分離されているなどの場合には、改造は必
 要とはならないようです。
 キッチンカーは、停車して営業するため、場所が成否を分ける重要なポイント
 になります。地場の商工会などが情報提供して公募を掛けるケースもあるよう
 ですが、キッチンカー事業者と場所の貸し手のマッチングを行う業者も存在す
 るようです。

 一昔前に比べるとSNSが発達して集客ツールとして活用できそうです。
 中古車両なども出回って初期設備を抑えることもできそうです。  
 なにより、固定店舗を構えるよりコストが掛からず、全道で自由に商売ができ
 るという魅力もあります。

 但し、先述のとおり市況の変化が激しく、利益率も低いのでいくら少額出資で
 始めることができるビジネスであったとしても、綿密緻密なビジネスプランが
 必要です。
 燃料費、材料費、人件費といったコストの増加も考え、慎重に計画することが
 肝要です。

とよひら行政書士事務所
インボイス登録事業者
T1810336456938
札幌市豊平区豊平8条11丁目3-21
プリンスハイツ305
Tel/Fax 011-302-5775
Mobile 080-6013-4695