想像してみてください。
ある日、あなたは、以前から気にしていたご自身の財産のことについて、
遺言書を作成しました。法律に決められた方式や遺言書の内容にも十分に注意
して作成しました(ほっと一息。)。
『よし。いろいろ苦労したけど、これで我が身に何が起こっても安心だ。』
『家族に知れると、いろいろ面倒だからな。無くしてしまっても困るし。
そうだ。自分だけが知っている秘密の赤全な場所に保管しておこう。』
まってください!! 遺言書は、あなたの最期の意思を認めたものですよね。
誰かに知らせておかないと、どこに保管してあるか伝えていないと、せっかく
作った遺言書も、必要なときに発見されなければ、あなたの最期の意思は叶え
られるのでしょうか。
それどころか、ご遺族たちがようやく纏めた分割協議の後に発見されたなんて
ことにでもなったら、協議のやり直しをしなければならなくなる、なんて危
険性すらあり得ます。遺言書の内容と協議で纏めた内容とが異なっていたと
したら。揉めますよね。何のために遺言書を作成したのですか。
争いごとを起こすため?
あなたの意思を認めた大切な遺言書の存在を、ご家族やご親族の誰にも秘密に
して、さらに自分しか知らない場所に隠してなんておいたら、本当に永遠の
秘密となりかねません。
反対に、『ここに遺言書があるからね』と言わんばかりに、いつでも誰かの手
が届くようなところに保管(放置)しておくということも適切ではありません。
あなたが、亡くなったとします。ご遺族は、すぐに遺言書を発見できます。
よかったですね。最後の意思が無駄にならずにすみそうです。
タンスの上から2番目に実印や通帳と一緒にしまってること、家族みんなが知
ってるから。なんなら隣の○○さんや町内会の人たちも知ってるから。
でも、そのような環境下で保管(放置)されていた遺言書を基に、遺産分割協議
が行われることにでもなったら、遺言書の信ぴょう性が疑われますよね。
そこで、ご紹介するのが令和2年7月10日からスタートした法務局が取り扱い
開始を始めた「自筆遺言証書保管制度」です。
詳しくは法務局ホームページ(https://www.moj.go.jp/MINJI/01.html)
に掲載されていますのでご参照願います。
自筆遺言書保管制度とは、読んで字の如く、自筆の遺言書を法務局で保管し
てもらえる制度です。但し、遺言書自体そのものを保管するという意味では
ありませんからご注意ください。
この制度は、遺言者となるご本人だけが行うことができます。
代理人が申請したり郵送することができません。
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