遺産分割協議書について

遺産分けで遺族に亀裂が入る。それじゃ故人も浮かばれない。

 ある日突然、ご家族がお亡くなりなったとき、あなたはどうなさいますか。
 大切なご家族が亡くなったという現実。
 火葬や葬儀、業者の選定、納骨の手配。
 残された財産等の調査や整理。
 各種の行政官署での手続き。
 故人が生活していた際に利用していた各種サービス等の解約処理等。

 やらなければならないことは結構たくさんありそうです。
 悲しみに打ちひしがれて、何も手がつかない。
 冷静に考えて行動することも難しい時期かと思います。

 法律的なところでは、原則的に自分のために相続の開始があったことを知った
 日から3か月以内に、相続について単純若しくは限定の承認または相続の放棄
 をしなければなりません(民法第915条第1項)。

 各種の財産処分について、ご遺族たちと話し合う必要があります。
 これからまだまだ片付けや処分・整理をしなければならないのに、各種申請
 手続や遺された財産のことも考えなければなりません(継承するのか、処分
 するのか。)。

 「遺産分割協議」という言葉をお聞きになったことがあるかと思います。
 相続人となる者全員で話し合い、亡くなった方の財産の帰属や分割方法など
 を取り決めることです。「遺産分割についての話し合い」と申し上げました
 が、そもそも遺産分割を状況によって分類してみますと、
 1⃣遺言書による相続方法の指定による分割 (遺言書が作成されている場合)
 2⃣相続人らの協議による分割
 3⃣家庭裁判所での調停手続きによる分割
 4⃣家庭裁判所での審判手続きによる分割

 となります。1⃣の場合は、原則通り故人の意思を尊重し、相続人らが遺言書
 の内容に従って遺産を分割することになります。なお、遺言書に、遺言執行
 者の指名がある場合には、原則として指定されたその者が遺言の内容に沿っ
 て手続きを執行することになります。

 そして。
 2⃣の場合が、このページで説明させていただくものとなります。
 大前提は、遺言書が存在しないこと。この点は十分に確認しておく必要が
 あります。
 遺言のような細かな方式が法律に定められてはいませんが、注意しなければ
 ならないのは、相続人となる者たち全員が協議して、遺産となるものの分割
 についての方法を取り決め、全員が同意する必要があるということです。
 

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 【遺産分割協議書】
  様式や方式は法定されていませんので、サンプル代わりに主に記載すべき
  内容について、基本的な事案をベースにざっと書き出してみます。
  現実には、相続人らの状況に合わせた条項を盛り込めばよいと思います。
  何より、遺産分割協議書を作成するにあたっては、相続人全員の確認、
  相続財産についての目録作成が前提として必要になる他、印鑑証明書、
  住民票、被相続人の除籍謄本、住民票の除票などが必要となります。
  (その他、資産の内容によっては、登記事項証明、預金残高証明などの書類
  が必要となります。また、その評価方法、評価額についても相続人間で予め
  合意形成しておかなければならないのは言うまでもありません。)
  
 
  (1)被相続人の表示
   亡くなった方の氏名、生年月日、死亡時の住所、本籍地、死亡日

  (2)相続人の表示
   相続人となる者すべての氏名、生年月日、住所、本籍地

  (3)相続財産の表示
   ①不動産
     [土地] 所在、地番、地目、地積
     [建物] 所在、家屋番号、種類、構造、床面積
     何れについても現所有者及び評価額を表示
   ②預貯金
     口座名義人、金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、預貯金額
   ③有価証券類
     有価証券の種類ごとに記載
     例えば、[株式] 名義人、保有株式、株式数、保管先、金額
         [会員権] 名義人、会員組織名、口数、評価額
   ④保有債権
     具体的な債権の内容、債務者、債権額、利害関係人等の有無、
     返済期限、金利の有無、現在の残存債権額
   ⑤自動車
     車名、登録番号、車体番号、所有者、使用者、車検の有無(期限)
     自賠責保険(期限)、評価額
   ⑥動産
     具体的動産の種類等、動産が存在する場所、評価額
   ⑦債務
     具体的債務の内容、債権者、債務者、保証人等の利害関係人の有無
     (連帯債務等の種別等)、金利の有無、現在の残存債務額

  (4)分割の内容
   相続人の誰が、遺産のどれを相続するのかを明確に記載する。

  (5)署名等
   相続人ら全員が、協議内容に同意したことを証するために夫々、自署し、
   実印を押印する。なお、署名した者の住所地は、印鑑証明書と相違ない
   ように記載すると同一性が確保されるので必ず同じように記載する。


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 因みに、先述の3⃣4⃣の場合は、話し合いでは折り合いがつかない状況にある
 ということであれば、紛争的事案となる可能性が高いと思われます。
 このような状況に至ることが目に見えて確実な事案については、行政書士が
 取り扱いできない分野となります。
 
 
 
 

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