賃貸住宅の管理業務の適正化に関する法律(令和2年法律第60号)が、2021
(令和2)年6月15日に施行されたことにより、賃貸住宅管理業登録制度が開始
される運びとなりました。賃貸住宅管理業とは、賃貸住宅の賃貸人から委託を受け
て管理業務を営もうとする者のことで、管理する賃貸住宅の戸数200戸以上の業者
は、国土交通大臣への登録が義務となります。
なお、管理する賃貸住宅が200戸未満の業者は、登録するか否かは任意となりま
す。
賃貸住宅管理業の国土交通大臣の登録について以下のとおり、まとめてみます。
【管理業者】
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律において、「管理業務」とは賃貸
住宅の賃貸人(オーナー)から委託を受けた「賃貸住宅の維持保全を行う業務」
または「賃貸住宅の維持保全を行う業務」及び「賃貸住宅の賃料、敷金、共益
費その他金銭管理を行う業務」を併せて行う事業を指しています。
そして、これら何れかの業務を行う者を賃貸住宅管理業者と定義しており
「賃貸住宅の賃料、敷金、共益費その他金銭管理を行う業務」のみを行う
事業者はこの法律でいうところの管理業者には該当しません。
【登録の対象となる者】
管理する賃貸住宅の戸数200戸以上の管理業者が対象となります。
すでに旧制度登録をしている事業者についても、賃貸住宅管理業を営んでいて
200戸以上の賃貸住宅を管理している場合には登録が必要となります。
特定転貸事業者(サブリース業者 ※)も同様に、200戸の賃貸住宅管理を
行っているのであれば登録の必要があります。
(※不動産会社などが、不動産オーナーから物件一棟丸ごとを賃貸借し、借受
けた不動産をエンドユーザーに転貸借する賃貸経営の形態。)
【申請書提出先】
該当する管理業者は、賃貸住宅管理業務を営もうとするときに、本店事務所の
所在地を管轄する地方整備局(北海道は北海道開発局、沖縄県は沖縄総合事務
局)を通じて国土交通大臣に登録の申請をします。
つまり、北海道の場合は、北海道開発局です。
なお、申請手続を行う場合は、原則として賃貸住宅管理業登録等電子申請シス
テムから行う必要がありますので、申請しようとする者は、Gビズ IDが必要と
なります。
但し、登録申請書のうち第六面においては、登録免許税納付書面の原資を張り
付けたうえ所管の申請窓口へと郵送しなければなりません。
(デジタルとリアルを併せ行う手続きなのですね。)
(GビズIDの作成方法等の参考ぺージURL)
https://gbiz-id.go.jp/top
【提出書類:例として法人の場合】
①登録申請書
②定款又は寄附行為
③登記事項証明書
④法人税の直前1年の各年度における納付すべき額
及び納付済額を証明する書面
⑤役員が破産開始決定を受けて復権を得ていない者に該当しない旨の
市町村長の証明書
この場合、役員全員(代表取締役、取締役、監査役、代表執行役、執行役、
会計参与等)のものが必要となります。
⑥役員並びに相談役及び顧問の略歴を記載した書面(様式2号)
⑦相談役及び顧問の氏名及び住所
並びに発行済株式総数の5/100以上の株式を有する株主
又は出資の額5/100以上の額に相当する出資をしている者
の氏名又は名称、住所及びその有する株式数又は出資の金額を記載した
書面(様式3号)
⑧最近の事業年度(申請日を含む事業年度の前事業年度)における貸借対照表
及び損益計算書
⑨業務等の状況に関する書面(様式4号)
⑩業務管理者の配置状況(様式5号)及び業務管理者の要件を証するもの
⑪賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第6条第1項第2号から第4号
まで、第6号及び第8号から第11号までの何れにも該当しないことを誓約
する書面(様式6号)
⑫その他必要と認める書類
(1)物件管理一覧表(賃貸住宅の名称、住所、管理戸数等を記載した台帳)
(2)前述のとおり、本件は基本的には電子申請を以て行うのが原則ですが、
登録通知書の送付を希望する者は、所管の申請窓口へA4サイズの返信用
封筒に宛名を記載し、郵券140円分を添付して郵送する必要があります。
【標準処理期間】
申請受理から登録までの標準処理期間は90日として公開されています。
(不備がある、不足書類があるなどの補正期間は含みません。)
【登録有効期間等】
管理業者の登録の有効期間は5年間です。
有効期間満了後も引き続き、業として管理業を営もうとするのであれば、
有効期間満了日の90日前から30日前までに登録更新の申請を行う必要が
あります。
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以上、賃貸住宅管理業の登録について、まとめてみました。
マンション管理業のページでも触れましたが、住宅は住んでいる者にとって
生活の本拠地です。自宅は、プライベート空間でプライベートな時間を過ごす
大切な場所です。
他方、オーナーにとって不動産は大切な資産であり、本来、自分の手で管理す
べきところプロに任せて管理を委ねています。
何れの身に立って考えてみても、重要であるが故に、その許可(本件の場合は
登録)は、厳格になるのは当然のことなのでしょう。