古物商許可

一度消費者が手にしたものの売買等をするには必要

  古物商。言葉だけ見ると「骨董品(こっとうひん)」を扱う商人のこととも
  読めますが、古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)という歴史ある法律
  によって、古物を扱う営業をするためには「許可」が必要であると定められ
  ています。
 
  この法律による「古物」とは、
  ① 一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他
    政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、
    航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるもの
    を除く。以下同じ。)
  ② 若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの
  ③ 又はこれらの物品に幾分の手入れをしたもの
 
  と定義され、広く網が掛けられています。
  警察庁通知・通達では、法第2条第1項中の「使用」とは、物品をその本来の
  用法に従って使用することを意味し、衣類は着用すること、自動車は運行の
  用に供すること、美術品は鑑賞することなどと例示しています。

  次に「古物営業」とは、
  ⓵ 古物を売買し、若しくは交換し
    又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、    
    古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から
    買い受けることのみを行うもの以外のもの
 
  ⓶ 古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいう。
    以下同じ。)を経営する営業
  
  ⓷ 古物の売買をしようとする者のあつせんを競りの方法(政令で定める
    電子情報処理組織を使用する競りの方法その他の政令で定めるものに
    限る。)により行う営業(前号に掲げるものを除く。以下「古物競りあ
    つせん業」という。)
 
  
  今では、古物の市場が当たり前に存在する世の中となり、中古物を扱う全国
  チェーンや地場のお店の他、特定商品のみを扱う専門店やネットで営業する
  など様々な営業の形態が見受けられるようになり、ネットオークションも当
  たり前となりました。
    
  では、古物商許可とは、どのような手続きを経て取得することになるのか、
  以下にまとめてみました。
 

 【提出先】
  古物営業を行おうとするときは、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県
  公安委員会の許可を受けなければなりません。
この時、申請書の提出窓口と
  なるのは、主たる営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課又は刑事・
  生活安全課生活安全係となります。 

  因みに、古物営業法第2条第2項各号に規定されている営業者は、営利目的を
  有する者に限られます。従って、営利を目的としない者は古物営業法における
  営業に該当しないので許可を取得しなくとも良いと考えられます。
  (例えば、古物を単に買い取って、第三者に寄附や無償で譲り渡す場合は、
  古物営該当しないと考えられますので許可は必要となりません。)
  
 
 【管理者の配置】
  古物商の営業所には、業務を適正に執り行うための責任者として、必ず
  その営業所ごとに管理者1名を選任しなければなりません。
  
    
 【欠格事由】
  ただし、古物営業法第4条(許可の基準)に該当する場合には許可を受ける
  ことができません。具体的には、申請者本人、法人代表者、役員、監査役、
  古物商の管理者等が欠格事由に該当している場合には、許可を受けることが
  できません。同条には1号から11号まで規定がありますが、一部
を挙げると
  次のとおりです。
  ・ 破産手続き開始決定を受け復権していない
  ・ 禁固刑又は本件古物営業法に規定されている罪を犯し罰金刑に処せられ、
     その執行を終わり、又は執行を受けることが無くなった日から起算し
    5年を経過しない
    ・ 暴力団員
  ・ 住所の定まらない者

  ・ 古物商の許可の取り消しを受け、取消の日から起算して5年を経過しない
  ・ 心身の故障により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施することが

    できない者として国家公安委員会規則で定めるもの
  などがあります。
 
 
 【提出する書類】
  ■申請書
  個人の場合
   ・別記様式第1号その1(ア)(第1条の3関係)
   ・別記様式第1号その1(イ)(第1条の3関連)
   ・別記様式第1号その2(第1条の3関連)
   ・別記様式第1号その3(第1条の3関連) ◀他の営業所がある場合は必要
   ・別記様式第1号その4(第1条の3関連)
  
   
  法人の場合
   ・別記様式第1号その1(ア)(第1条の3関係)
   ・別記様式第1号その1(イ)(第1条の3関連)◀役員が複数の場合は必要
   ・別記様式第1号その2(第1条の3関連)
   ・別記様式第1号その3(第1条の3関連) ◀他の営業所がある場合は必要
   ・別記様式第1号その4(第1条の3関連)
   


   申請書様式は、各都道府県警察のホームページで取得が可能です。
   様式第1号の各頁に記載すべき事項で、予め決めておくべきものとしては、
  
    1⃣ 受けるべき許可   「古物商」か「古物市場主」か
                「古物市場」とは、複数の古物商が集まって
                古物商間において古物を取引するために利用
                される場所のことを意味し、
                「古物市場主」とは、古物市場を複数の古物商
                に取引する場として提供して、入場料等を徴収
                する業態の者を意味します。
 
    2⃣ 許可の主体     「法人」か「個人」か

    3⃣ 行商の有無     行商とは、古物商が営業所以外の場所で行う
                古物の営業のことで、展示即売会や仮設店舗
                などを行う予定の有無 
 
    4⃣ 取り扱う分野    13種の中から1つ選択    
        
   様式第1号その4は、ホームページを利用して古物営業を行う場合やネット
   ショップを開設して古物営業を行う場合などのときに、使用する符号
   (URL)の届出行うための様式です。ウェブ
環境は、重要な経営資源と言え
   ます。ウェブ上に仮想ショップ等の開設を考えているのであれば、予め
   登録・開設などの手続きをしておく必要があります。また、独自URLを
   取得・登録・開設などの手続完了通知など、間違いなく自身の使用する
   URLであることを疎明し得る書面を添付する必要があります。


  ■添付書類 
  個人の場合
   (1)略歴書*1        申請者本人、営業所の管理者、各々必要
                                      最近5年間の職歴や住所歴を記載
   (2)住民票*2    申請者本人、営業所の管理者、各々必要
   (3)身分証明書*3  同上
   (4)誓約書*4    同上
   *1~3申請者と管理者が同一の者の場合には1通  
   *1~4いずれも作成日、発行日から3か月以内のもの
     *2本籍地(外国の方は国籍)記載があるもの
 
 
  法人の場合
       (1)略歴書*1    全役員、営業所の管理者、全員分が必要
             直近5年間の職歴や住所歴を記載
   (2)住民票*2    全役員、営業所の管理者、全員分が必要  
   (3)身分証明書*3      同上
   (4)誓約書*4      同上
   *1~4役員全員と営業所の管理者
   *1~4いずれも作成日、発行から3か月以内のもの
     *2本籍地(外国の方は国籍)記載があるもの
  
 
 【申請手数料】
  収入証紙19,000円
 
 
 【審査期間】
  標準処理期間として凡そ40日程度と公表されています。
  (不備がある、不足書類があるなどの補正期間は含みません。)
 
 
 【古物商の許可標】
  許可をしたときは公安委員会は許可証を交付しなければなりません

  (法第5条第2項)。
     古物商は、行商のときや競り売りをするときは、許可証を携帯して
  いなければなりません(法第11条第1項)。  
  古物商は、従業者等に行商をさせるときは、当該従業員等に、国家
  公安委員会規則で定める様式の行商従業者証を携帯させなければな
  りません(同条第2項)。
 
  また、取引の相手方から許可証又は行商従業者証の提示を求められた
  ときは、提示しなければなりません。
 
 
 【標章の掲示等】
  古物商、古物市場主は、営業所・仮設店舗・古物市場ごと、見やすい場所に
  国家公安委員会規則で定める様式の標識を掲示しなければなりません
  (法第12条第1項)。
   
  古物商、古物市場主は、例外を除いて国家公安委員会規則で定めるところに
  より、その氏名又は名称、許可をした公安委員会及び許可証の番号の他、
  取り扱い古物に関する事項をネット上で表示しなければなりません
  (同条第2項第3項)

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  古物を取り扱う仕事は、盗品など犯罪に係わる物の流入可能性を排除し、
  適正かつ円滑な取引を実現するために、厳格な審査や許可取得後のルールが
  整備されています。
  
  

  
  様式・手続きの参考:北海道警察ホームページ(古物商許可のページ)
  URL: https://www.police.pref.hokkaido.lg.jp/info/seian/kobutu/kobutu-shinsei.html
 

     

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